Abstract: Koide Izumi (2009)
日本画像の国際的利用に関わる問題とNCCのウェブガイド
研究や教育のために画像を国際的に利用する場合には国によって異なる規則や慣習が関係してくるが、画像の所在を確認し合法的に利用するための標準的な手順はいまだ確立されていない。北米日本研究資料調整協議会(NCC)は、とりわけ出版に際して増大する画像利用ニーズに対応を迫られている学者の要望に応え、画像資料利用(IUP)特別委員会を設置して、この問題に積極的に取り組んできた。NCCはIUPガイドを作成し、世界中で利用できるようにウェブに公開した(http://www.fas.harvard.edu/~ncc/imageuse/index.html)。 報告では、2007年の調査により判明した現状、2008年の東京会議やウェブガイドを作成する中で分析・解明された課題について述べる。また、ウェブガイドを紹介する。
Abstract: Noguchi Sachie (2009)
出版物への画像使用許可取得について:3つの事例
日本の出版物などに掲載された画像を、別の出版物に再掲載するために許可を得た三つの事例について報告する。まず、イヴリン・ロースキー教授の『The Last Emperors(最後の皇帝)』という著書のために『内藤湖南全集』に掲載された2枚の写真を、著作権情報センター(社)を通じて許可を得た例についてのべる。次に、『九鬼周造全集』に掲載された図版を、ナラ・ヒロシ先生の『The Structure of Detachment(粋の構造)』に再掲載するために、出版社、岩波書店を通じて許可を受けた例について、そして、最後にカーネギー美術館で開催された「Urban Metamorphosis: One Hundred Views on New Tokyo(都市の外観変化:新東京の百の景観)」という展覧会のカタログに掲載するため、毎日新聞フォトバンクの所有する2枚の写真とその使用権を得た例について報告する。
Abstract: Borgen, Robert (2009)
Editions of Jōjin's Diary: A Library of Textual Exasperations
Abstract: Da Costa Gomez, Ana Christina ; Murta Pin, Isabel Alexandra (2009)
Research Projects and Documentary Corpus of the Macau Scientific and Cultural Centre (CCCM)
Abstract: Nakamura Sumiko (2009)
55枚の小さな浮世絵
国立劇場所蔵(役者見立絵)三代歌川豊国画『東海道五十三次』
国立劇場所蔵の錦絵の中に、『五十三次』という題箋の付いた小さな画帖がある。 この画帖の中味は、三代歌川豊国の『役者見立東海道五十三次』であり、大判に倣って、日本橋から京までの55駅についての美しい役者絵と目録である。中判の和紙一枚に人物が向き合うように、二駅二人ずつ描かれ、そこに豊国の落款・彫師・版元・改印が記されている。 その和紙を二つ折りにし、順に貼り合わせた折本型の画帖である。正編ともいえる大判の『役者見立東海道五十三次』が嘉永5年6月に終了した後、同年の9月から12月にかけて作成され、翌年9月に最後の「京」と「目録」が作られた。 この画帖の重要なところは、今のところ、この一冊しか確認できないことである。 大判とは違う趣があり、貴重な作品といえよう。